「友引のお葬式は避けるもの」——葬儀の日程を決める場面で、今もよく聞かれる言葉です。大切な人を見送る日取りだけに、迷いや不安を感じる方も多いと思います。この記事では、この言い伝えがどこから来たのか、そして現代の葬儀の実際はどうなっているのかを、俗信と実務を区別しながら丁寧に整理します。

目次
  1. 「友引に葬式を避ける」の由来
  2. 現代の実際——火葬場の友引休業
  3. お通夜は友引でも良いとされている
  4. 友引人形という風習
  5. 日程を決めるときの考え方
  6. よくある質問
    1. 友引に亡くなった場合はどうなる?
    2. 法事・法要も友引を避けるべき?
  7. まとめ

「友引に葬式を避ける」の由来

友引(ともびき)は六曜のひとつです。六曜は大安・仏滅などとともにカレンダーに書かれている暦注で、もともとは中国から伝わった時刻や日の吉凶占いが日本で変化したものとされています(詳しくは六曜の意味と順番の記事へ)。

友引はもともと「共引」と書き、「勝負がつかない日」「引き分けの日」を意味していたとされます。ところが後の時代に「友引」の字が当てられたことで、「友を引く」——つまり故人が親しい人をあの世へ連れて行ってしまう、という連想が生まれました。ここから「友引に葬儀をしてはいけない」という言い伝えが広まったとされています。

つまりこの避けごとは、字面の変化から後付けで生まれた連想であって、仏教の教義とは関係がありません。六曜そのものが仏教と無関係であり、仏滅の「仏」も当て字とされています(仏滅の解説記事参照)。宗派によっては、六曜を気にすること自体を戒める教えもあるほどです。

現代の実際——火葬場の友引休業

「俗信なのだから気にしなくてよい」と言い切れないのが、この話の難しいところです。理由は実務の側にあります。

友引を休業日(友引休み)とする火葬場が、今も各地に多くあるのです。友引の葬儀を避ける習慣が長く続いた結果、利用の少ない友引が火葬場の定休日として定着した、という経緯によるものです。火葬場が休みであれば、その日に火葬を伴う葬儀・告別式は物理的に行えません。

つまり現代において「友引に葬儀ができない」ことがあるのは、縁起そのものというより、地域の火葬場のスケジュールという実務上の事情によります。逆に言えば、友引も稼働している火葬場の地域では、友引の葬儀は普通に行われています。日程を組む際は、縁起の話とは別に、まず地域の火葬場の友引の扱いを葬儀社に確認するのが現実的です。

お通夜は友引でも良いとされている

避けごとの対象とされてきたのは、火葬を伴う葬儀・告別式です。お通夜は「故人と過ごす最後の夜」であり、別れの儀式ではないことから、友引に行っても差し支えないと一般に考えられています。実際、翌日の告別式を友引の翌日に設定し、通夜を友引に行う日程はよく組まれています。

なお、友引の翌日は火葬場に予約が集中しやすいと言われます。友引休みの翌日は混み合う、という実務的な理由からです。日程に幅を持たせられる場合は、この点も葬儀社と相談しておくと安心です。

友引人形という風習

関西を中心とした一部の地域には、友引に葬儀を行う場合に「友引人形」と呼ばれる人形を棺に納める風習があります。「友の代わりに人形を連れて行ってもらう」という意味合いの身代わり人形で、こけしやぬいぐるみなどが用いられるそうです。俗信への配慮と、日程の現実とを折り合わせてきた、昔の人の知恵のひとつと言えるでしょう。

日程を決めるときの考え方

葬儀の日程は、友引かどうかよりも先に決まる要素がいくつもあります。

  • 火葬場の空き状況(友引休業の有無を含む)
  • 僧侶など宗教者の都合
  • 遠方の親族が集まれる日
  • 式場の空き状況

そのうえで友引をどう扱うかですが、これは「正解」のある問題ではありません。ご遺族や参列する親族のなかに気にする方がいれば、無理に友引を選んで心残りを作る必要はありませんし、誰も気にしないのであれば、友引を避けるために日程を延ばす必要もないとされています。弔いの日取りは、故人と遺族が納得して見送れることが何より大切です。迷ったときは、地域の慣習をよく知る葬儀社に率直に相談するのが良いでしょう。

よくある質問

友引に亡くなった場合はどうなる?

亡くなった日と葬儀の日は別ですので、友引に亡くなること自体に良し悪しの言い伝えはほとんどありません。日程としては、亡くなった翌日以降に通夜・葬儀を組む際、友引や火葬場の休業日をまたぐと全体が1日延びることがある、という実務上の影響があるだけです。

法事・法要も友引を避けるべき?

四十九日や一周忌などの法要は、故人を偲ぶ行事であり、友引を避けるべきとする考え方は一般的ではないとされています。六曜より、親族が集まりやすい土日や祥月命日、お彼岸やお盆の時期との兼ね合いで決めるのが普通です。お彼岸などの日付は雑節カレンダーで確認できます。

まとめ

「友引にお葬式を避ける」は、共引が友引と書かれるようになったことから生まれた字面の連想で、仏教の教えとは関係のない俗信とされています。ただし現代でも友引休業の火葬場が多いという実務上の事情があり、地域によっては友引の葬儀が組みにくいのも事実です。俗信としての友引は気にしすぎる必要はなく、実務としての火葬場の予定は確認が必要——この2つを分けて考えると、落ち着いて日程を決められるはずです。六曜の並びは吉日カレンダーでも確認できます。