「旧暦の七夕」「旧正月」という言葉を聞いて、今のカレンダーと何が違うのか、はっきり説明できるでしょうか。旧暦は明治時代まで日本で使われていた暦で、六曜や不成就日など、いまも暮らしに残る暦注の多くは旧暦をもとに動いています。この記事では、旧暦と新暦の違いと、旧暦の仕組みをやさしく解説します。
目次
新暦とは――太陽の動きだけで作る暦
現在の日本で使われている暦(新暦)は、グレゴリオ暦という太陽暦です。地球が太陽を一周する長さ(約365.2422日)を基準に、1年を365日とし、ずれを4年に1度の閏年(うるうどし)で調整します。月の満ち欠けは一切考慮しないため、カレンダーの「月」と空の月は無関係です。
旧暦とは――月の満ち欠けで月を作る暦
一方の旧暦は、太陰太陽暦という方式です。日本で最後に使われた旧暦は「天保暦」と呼ばれます。仕組みの柱は2つあります。
柱1: 新月の日を月の1日にする
旧暦では、新月(朔)の日を各月の1日とします。新月から次の新月までは平均約29.5日なので、旧暦のひと月は29日(小の月)か30日(大の月)になります。月の中頃、旧暦15日ごろにはほぼ満月になる――「十五夜」という言葉はここから来ています。月の満ち欠けの仕組みは月齢とはの記事で詳しく解説しています。
柱2: 閏月で季節とのずれを直す
月の満ち欠け12回分は約354日で、太陽の1年(約365日)より11日ほど短くなります。放っておくと暦が毎年11日ずつ季節からずれていくため、旧暦では約3年に1度、「閏月(うるうづき)」というひと月を丸ごと挿入して調整します。閏月のある年は1年が13か月になります。19年に7回の閏月を入れるとほぼ帳尻が合うことが古くから知られていました。
どこに閏月を入れるかは、二十四節気のうち「中気」と呼ばれる節気を含まない月を閏月とする、というルールで決められていました。二十四節気の日付は節気カレンダーで確認できます。
明治の改暦――旧暦から新暦へ
日本が旧暦から新暦に切り替えたのは明治時代です。明治5年12月2日の翌日を明治6年(1873年)1月1日とするという形で改暦が行われ、12月がほぼ丸ごと消えるという急な移行でした。以後、公式の暦はグレゴリオ暦となり、旧暦は「旧暦」と呼ばれるようになりました。現在の暦や暦象に関する公式情報は、国立天文台の暦計算室が公開しています。
旧暦は今も暮らしの中で動いている
旧暦は公式の座を降りましたが、いまも意外なところで現役です。
- 六曜 — 大安・仏滅などの六曜は、旧暦の月と日から機械的に決まります
- 不成就日 — 旧暦の月日で決まる凶日です
- 年中行事 — 旧正月(旧暦1月1日)、中秋の名月(旧暦8月15日)など
- 潮の呼び名 — 大潮・小潮は月の満ち欠け(≒旧暦の日付)と連動します
当サイトの吉日カレンダーでは、毎日の旧暦の月日を六曜とあわせて掲載しています。
「月遅れ」という第三の暦
旧暦と新暦の間には、「月遅れ」という折衷的な習慣もあります。旧暦の行事を新暦の同じ日付のまま1か月遅らせて行うもので、代表例が8月13日から16日ごろのお盆(月遅れ盆)です。本来は旧暦7月15日の行事ですが、新暦7月15日では農繁期に重なる地域が多かったことなどから、1か月遅らせた8月に定着したと言われます。七夕を8月7日に祝う地域があるのも同じ月遅れの考え方です。
「旧暦の日付をそのまま新暦で読む」「月遅れで行う」「旧暦の当日を毎年計算して行う」――同じ行事でも地域や神社仏閣によって流儀が異なるのは、この3つの方式が併存しているためです。
よくある質問
旧暦の日付は新暦より約1か月遅れ、と考えて良い?
おおまかにはその理解で大丈夫です。旧正月が新暦の1月下旬から2月中旬に来るように、旧暦の日付は新暦よりおおむね3〜6週間ほど後ろにずれます。ただしずれ幅は年により変わり、閏月のある年は特に大きく動きます。
「旧暦では今日は何日?」はどうやって調べる?
新月の日時と二十四節気から計算で求められますが、自力での計算はかなり大変です。当サイトのトップページでは今日の旧暦月日を毎日表示していますので、手軽に確認したい方はそちらをどうぞ。
まとめ
新暦は太陽だけを基準にした暦、旧暦は月の満ち欠けでひと月を作り、閏月で季節に合わせる太陰太陽暦です。明治6年の改暦で公式の暦ではなくなりましたが、六曜や年中行事を通じて、旧暦はいまも私たちの暮らしの中で静かに動き続けています。今日の旧暦の日付はトップページで、暦注との関係は吉日カレンダーで眺めてみてください。

